ほじょロケットくんのお話(前編)

 

  ほじょロケットくん(前編)

                                さく  らく しんいち
                                え   誰か描いて~

 
 

 
遠く遠くの、海辺の町

そこは、宇宙へ飛び立つ、発射台のあるところ

 
 
周りの町の工場では

今日も たくさんのロケットが 作られています

 
 
 
カーン カーン

「ふう、やっとできたぞ」

 
 
町外れの、さびれた工場で

ひとつのロケットが 生まれました

 
 

 
工場長は

完成したばかりの

細長いロケットに

電源をいれ

最終チェックをしながら

いっしょうけんめい、呼びかけました

 

「おーい、起きてくれ

完成したぞ!

起きてくれ~」

 

工場長の大きな声に

新しいロケット君は 目覚めました

 
「うーん、ふあー」

「よしよし、いい子だ

そのまましっかり、起きてくれよ・・」

 
 
工場長が 操作を続けていくと

新しいロケットは

ついにしっかり、立ち上がりました

 
 
「うーん、ここはどこ?」

生まれたばかりの ロケット君は

まだ、よくわかりません
 

「よく無事に生まれてくれた!

きみはロケットだよ」

「・・・ろけっと?」

「そうだよ、きみは宇宙に行くために

生まれたんだ」

「うちゅう?」
 

「そうだよ

みあげてごらん

あの青い空の向こうに

宇宙はあるんだよ」

「へえー・・・」
 
 

「だいじょうぶ

これから、たくさんのデータを

君に与えてあげるから」
 

工場長は言いました

 
「そうそう、忘れていたよ

私は工場長、君の生みの親だ

そして、君の名前は

ほじょロケットだ」
 

「ほじょ?」
 

「そうだよ、きみは今日から

ほじょロケット君だ」

 

こうして

ほじょロケット君は 生まれました

 
 
 

 

時は過ぎ

いよいよ 宇宙へ飛び立つ日が

近づいてきました

 

「いよいよ あと一週間で

宇宙へ向かう日が やってきたよ」

 
「そっかー

工場長 いままでいろいろありがとう

ぼく がんばるよ!」
 

「うん ぜひがんばってくれたまえ

明日は 発射準備のため

工場を出発して

発射台の近くで ほかのロケットたちと

合流するんだ

今日で 君ともお別れだ」

 
「そっか、さびしいね・・

ほかのロケットと一緒に行くの?

ぼく ほかのロケットなんて 会ったことないよ」

 
「この工場は ちいさくて

いちどに1基のロケットしか

作れないからね

明日 合流するのは

ほかのロケットが2基

そして・・・いや、なんでもない

明日のデータは

向こうに到着してから 受け取るがいい

明日は忙しくなるぞ

今日は 早く休んだほうがいい」

 
「うん、そうだね」

 

でも、今日はなかなか寝付けません

「宇宙って、データではたくさん知ったけど

どんなところなんだろう?

ああ、どきどきするな・・!」
 

まだ見ぬ宇宙へ 想いをめぐらせていると

どうにも 眠れなくなってしまうのです

 
 

「なんだ、まだ起きてたのか」

 
工場長がやってきました

 
「うん、なかなか眠れなくて・・

あ、そういえば」
 

ほじょロケット君は たずねました

「なぜ、ぼくの名前は

ほじょロケットなの?

ぼくは細長いから

ほそ君でも、良かったんじゃない?

工場長がくれたデータにも

はいっていなかったよ??」

 
工場長は

少し 顔をくもらせながら 答えました

 
「それはね・・

・・・いや、そうなんだ、

ほそ君にしようとしたら、データを間違ってしまっていてね・・」
 

「ふーん、そうなんだ

でも、ぼくはこの「ほじょ」って名前が

気に入ってるよ!」

 

「・・それはよかった

さあ、明日はこの工場を出て

いよいよ 発射準備に入るんだ

今日は、もう寝なさい」
 

「はーい」

 

 
 

そして、次の日

大きな荷台に乗せられて

ほじょロケットくんは

工場を出発しました
 

「がんばってこいよー」
 
 
工場長は

涙を浮かべながら 見送ります

「うん がんばって、宇宙に行くからね~!」

ほじょロケット君は さけびました

 
 
さて 発射のための

合流場所に つきました

 
ほじょロケット君は

ほかのロケットに会うのは はじめてです

 
「ぼくと一緒に行く仲間は

いったい、どんなロケットなんだろう・・」

 
 
そうこうしているうちに

一基のロケットが やってきました

「やあやあ、こんにちは」

「こんにちは!」

やってきたのは

ほじょロケット君とそっくりな

細長いロケットです

 

「はじめまして!

ぼく、ほじょロケットといいます」
 

「ああ、君もほじょなんだね」
 
 
「えー?おんなじ名前なの?」

 
もう一人の ほじょロケット君と話していると・・

むこうから、とても大きなロケットが やってきました

ほじょロケット君より 背が少し高くて

太さなんか 倍以上あります

 
「やあやあ、ぼくは、メインロケット

きみたちに 会えてうれしいよ」
 

低い声で メインロケット君は話しました

 
「めいん・・君?」
 

「そうさ、ぼくがメインさ

みんな ぼくのために がんばってくれたまえ」
 

「え?それって、どういうこと?」
 

「なんだ、君はしらないのか

ほじょロケットは、メインの補助をするために あるんじゃないか」

 
「!!」

 
そうなのです

ほじょロケット君の役割は

宇宙へ飛び立つ お手伝いをすること

自分自身は 宇宙へ飛び立つことは

できないのです

 
「そんな・・・

ぼくは宇宙へは 行けないの・・?」

 
ほじょロケット君は

とっても悲しく なりました

 

 
「まあ そう落ち込むなって

俺だって、宇宙へ行けるのは

頭の部分だけなんだぜ」
 

メインロケット君は やる気まんまんです
 

「そういえば

ほかにも何か 来るって言っていたな

お、あれか?

・・あれは・・まさか・・・」

 
メインロケット君の 顔が 青ざめました

 
やってきたのは

まるで飛行機のような

翼を持った ロケットです

 
「やあ、みんな集まっているね

ぼくの名前は スペースシャトル」

 
ほじょロケットくん
 

そう

メインロケット君も

今回は 脇役だったのです

 
落ち込むメインロケット君を見ながら

ほじょロケット君は

なんともいえない気持ちに なりました

 
「・・いっしょに がんばろうね」

小さな声で メインロケット君を

励ましてあげました

 
 
 
いよいよ 出発の日

スペースシャトルと

3基のロケットは

合体して

発射台に上りました

 
「あーあ

やっぱり、宇宙に行きたかったな・・」

ほじょロケット君は

いまだに 気分が乗りません

 
 
『発射30分前・・・』

アナウンスが 響き渡ります

 
ふと周りを見ると

発射台のまわりには

たくさんの人たちが つめかけました

 
みんな口々に、さけんでいます

 
 
「がんばってきてねー」

「気をつけてねー」

「無事に帰ってきてねー」

 
中には 心配のあまり

涙する人も ありました
 

「そうか、みんな応援してくれているんだ・・

あの泣いている人は

パイロットの 家族だろうか?」

 

まだ ちょっとしょげたままだった

ほじょロケット君は

その声を聞くと

がぜん 勇気がわいてきました

「ようし、やるぞ!

無事に スペースシャトル君を

宇宙に 送り届けるんだ!

みんな、がんばろう!!」

 
ほじょロケット君は

大きな声で

みんなを 励ましました

 

『発射十秒前

9、8、7・・・・

・・・3、2、1、発射!』

どどどどどどーーーーー!

凄い音を立てながら

スペースシャトルを乗せた ロケットたちは

発射しました

 
 
ほじょロケット君も

懸命に

火を燃やし続けます

 
 
どどどど ごおおおお

 
 
たくさんの煙をはきながら

天高く どんどん 昇っていきます

発射台も どんどん小さくなっていきます

 
 
「まだまだ がんばれ!」
 

 
地上は はるかかなたになっていき

空気も だんだんうすくなって

地球の丸さが わかってくるくらい

どんどん 上昇していきました

 
 
「もうちょっとだ がんばれ!」

 
ほじょロケット君は

エンジンが燃え尽きるくらい

いっしょうけんめい 火を噴き続けました

 

しかし・・・

ほじょロケット君の 燃料が

とうとう 尽きてしまいました

 
「どうやら、ここまでみたいだ・・

みんな 本当にありがとう」

 

ほじょロケット君は そう言うと

ほかのみんなとの 連結部分を

切り離しました・・・
 

「メインロケット君、後は頼んだよ

スペースシャトル君、

きっと地球にもどってくるんだよ・・」

 
切り離された ほじょロケット君は

自由落下を 始めました

どんどん遠くなっていく

スペースシャトル君を見つめながら

 
「ああ、これで終わったんだ・・

ぼく、がんばったよね・・・」

 
 
下を見ると

すごいスピードで

海がだんだん 近づいてきます

 
でも
 
燃料が空になった ほじょロケット君には

もうなすすべが ありません

 
 

そして・・・

 

ばっしゃーーーーん!!

 
ほじょロケット君は

海へ激突してしまいました

 

ショックで 意識が遠のきながら

海に沈んでいくのだけは わかりました・・

 
 
ぶくぶく・・ぶくぶく・・

 
 

 
(つづく)
 
 
(ほじょロケット君 後編)

 
 

 

 

 
 
 

 

Filed under: 物語 — 楽 1:20 AM

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